おかしいなと思ったらすぐ換気。1日30分の空気の入れ替えで症状改善を(2012年1月14日号掲載)

 

Vol.16 シックハウス症候群

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ドクターに聞きました
兵庫県立大学教授
内田勇人先生
 ◆住まいに潜むさまざまな原因物質
シックハウス症候群は、医学的に確立された単一の疾患ではなく、居住に由来するさまざまな健康障害のことをいいます。主な症状は、涙目、鼻水、せき、めまい、吐き気、頭痛、皮膚の湿疹など。原因の多くはカビ・ダニなどによる室内の空気汚染、建材や調度品などから発生する化学物質などと考えられています。
現代住宅は省エネ対策で「高気密化」しています。すきまがなくなったため、外の暑さ、寒さ、騒音などの影響を受けにくく、快適な生活を送ることができるようになりました。その一方で、積極的に換気を行わないと、室内空気中の二酸化炭素濃度が上昇し、ダニやカビの胞子なども飛散した状態でそこにとどまったりと、室内の空気環境が悪くなります。特に冬は石油ストーブやガスストーブから一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物などの汚染物質が放出されます。たばこの煙にも有害な化学物質が含まれ、家を建てる材料や壁紙、いす、テーブル、カーテンなどには、接着剤や塗料、溶剤などいろいろな化学物質が使われています。衣類の防虫剤、殺虫剤、Tシャツのプリント部分等にも注意が必要です。化学物質は私たちの日常生活に非常に身近な存在。だからこそ、化学物質と上手につきあう工夫をしなければなりません。シックハウス症候群の原因物質は生活のあらゆる場面に潜んでいるといえるでしょう。
 ◆症状に個人差あり 違和感に敏感になろう

medical-120114-1.gif   シックハウス症候群は、主婦や幼児にみられる確率が高く、家で過ごす時間が長い人や抵抗力が弱い人に起こりやすいといえます。
しかし、病院ではなかなか診断が付きにくい疾患です。なぜならば個人の健康を取り巻く背景には、さまざまな要因があり、たとえば図1のように、生活習慣の乱れやストレスなど、原因が複合的に重なって発症するケースも多いからです。
個人差もあり、同じ空間にいて、ひどく不快を訴える人もいれば、なんともない人もいます。外出先から家に帰ってきたとき、急に咳き込んだり目がチカチカするなど体が違和感を訴えたら、シックハウス症候群を疑いましょう。室内空気環境については、保健所に相談窓口があります。シックハウス症候群かもと思ったら、保健所に相談するのも良いでしょう。
 ◆シックハウス対策には まず換気
medical-120114-2.gif  シックハウス症候群には、症状を抑える薬が処方されますが、原因となる物質を除去しない限り、根本的な治癒にはつながりません。シックハウスに一番効果的なのは換気。居住に関連する多くの化学物質は揮発性が高く、換気をこまめに行うことで症状は緩和されていきます。また、カビ・ダニ対策としての湿気の除去も重要です。1日30分、クローゼットや押入の扉を開け、窓から新鮮な空気を取り込んで汚れた空気を外に逃がすようにしましょう(図2)。
平成15年以降、シックハウス対策として建築基準法が厳しく見直され、私たちの健康は守られるようになりました。しかし、自分の体を守るのは自分自身。不調があれば専門科を受診するようにしましょう。